MLPA法は、染色体末端部における微細構造異常(欠失、重複)を検索できる、比較的低価格の試薬と考えていたが、実際に使用してみると正常コントロールに5テスト分の試薬を必要とし、染色体検査では異常を検出できない本研究の対象となる微細染色体構造異常(前記の欠失、重複)を疑う患者が一人について、検査が必要になる場合、コスト的には高くなることがわかった。その価格は、DNAアレイ法と同程度の価格になる。DNAアレイ法は、MAPA法が得意とするサブテロメア領域の異常にも対処できることから、DNAアレイ法に絞って検討しても、異常を見逃すリスクないと考えられるので、DNAアレイ法に集中して解析している。 今年度は妊娠後期の超音波断層検査によって染色体異常が疑われるも、通常の羊水検査では異常を検出できない症例でこのDNAアレイ法が活躍すると予想していたが、この週数では妊娠を中断することができないため、異常が検出されても出産する選択しか残っていないなどの理由で検査の同意を得ることは困難であった。これは、予想できなかったが胎児が何らかの異常をもっていると聞かされたカップルの心情は複雑でこの時期に、追加検査のむずかしさを知った。今年度は、むしろ出生後に両親が落ち着きをとり戻し、児を受け入れできるようになってからこのDNAアレイ法に同意できる可能性があると考えた。むしろ、妊娠16週以降に行われる通常の羊水検査の由来不明の過剰染色体(マーカー染色体)が認められた場合、マーカー染色体の由来を明らかにし、表現型への影響を判断が必要な症例では、検査の同意はスームーズに行われ、16番由来が1件、15番染色体由来が3件認められた。
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