研究概要 |
救命し得た在胎28週未満の超早産児たちの、将来の呼吸機能や、発達予後を左右する重篤な疾患である新生児慢性肺疾患の、原因解明と、治療法の確立を目指して、我々は、胎内炎症に起因する重症例では、肺胞内外のレドックス環境が破綻し、出生後の、酸素などの傷害因子に対する感受性が高まっているのではないかと考え、実際の臨床検体を用いて、その証拠を得んがため、今回の研究を計画した。 まずは、HPLC-ECD(電気化学検出器)法による還元型グルタチオン/酸化型グルタチオン(GSH/GSSG)測定と、negative ion chemical ionization (NICI) modeのガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)法によるシステイン/シスチン測定のための基礎的検討を行い、standardによる条件設定の確立後、生体サンプルに応用し、それぞれ、CV=3%、7%、および、回収率96%、91%と、良好な結果を得た。 その後、在胎32週未満の、気管内挿管患児より、出生当日(日令0)、日令3-5、および日令7-10の、3ポイントで、臨床的に必要不可欠な、気管内洗浄時に生じる余剰検体を、気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid, BALF)のサンプルとして用い、順調にデータを増やしているところだが、まだ、統計解析をするには十分な数には至っていない。今後も、ひたすら残り検体の処理に邁進する所存である。
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