研究課題/領域番号 |
22591212
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
前野 泰樹 久留米大学, 医学部, 准教授 (90248401)
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キーワード | 胎児不整脈 / 胎児頻脈 / 胎児徐脈 / 胎児心臓超音波検査 / 心機能 / 組織ドプラ |
研究概要 |
本年度は、新しい心臓超音波診断手法について、研究計画の主にStep3および4を進めてきた。 参考:超音波検査手法を用いた胎児心筋障害、心機能の評価 それぞれの検査手法において、以下の3つのステップの確認を行っていく。 Step1:成人、小児、新生児の時と同様な手法の検査が、胎児においても計測が可能か検証。 Step2:正常新生児において各在胎週数で実際に計測を行い、正常胎児における在胎週数の変化、発達を評価。 Step3:胎児不整脈症例において、経時的に心筋の状態、心機能を評価。 Step4:汎用されているこれまでの超音波検査法による循環評価との比較 1。胎児不整脈症例11例(完全房室ブロック3例、心室性期外収縮2例、心房性期外収縮6例)に対し、胎児心エコーを施行できた。ただし、胎児頻脈に付いては症例がなかった。 2。組織ドプラ法では、右室、中隔、左室の房室弁輪でのドプラ法波形の検出は胎児不整脈でも可能では有ったが、波形の起源等の評価が困難であった。これについては、今後症例数を増加させ、波形の評価法を開発する必要が有る。正常心拍に復した時の評価は、正常との差異について検討を進める。 3。スペクルトラッキングについては、胎児では有効なまだ正確な評価が出来ず、方法を模索中。 4。Step4として、これまでの心機能(Mmodeでの収縮能や、ドプラ法でのTeiindex。および心横径やドプラ法の血流速度、血流量評価)を、組織ドプラ法での評価と比較、正常との比較を行ってきたが、個々の不整脈の状態に差が大きく、一定の見解が見いだせていない。この1年でさらに症例の集積を行い、同種の不整脈に付いて複数例の集積を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
正常胎児や徐脈等は検索が進んでいるが、主要な注目点の1つである胎児頻脈の症例が無い。例年1-2例の頻度で経験するが、この3年では症例が無い。 さらに、不整脈の細かい差異により得られた検査結果に差異が大きく、一定の見解が得られにくい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であるので、現時点で胎児でのデータ収集方法が確立しなかったスペクルトラッキングに関しては、新しい手技の模索は続けるものの、系統的なデータの集積、結果報告は困難と判断する。 そこで、今回は、現時点でデータ集積が可能な組織ドプラ法について、各不整脈のデータの差異を可及的に集積する。ただし、現時点で、差異を系統立てて普遍的な心機能評価を確立できておらず、今回はその症例毎の差異についての経験をまとめての報告の形へと結論を導くものとするのが妥当と判断し、発表の形として進めて行く。
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