研究概要 |
これまで乳房外パジェット病の予後因子として確立された免疫組織学的マーカーはない。今回我々は、ムチンコア蛋白サブタイプの本腫瘍における検討の可能性に着目し、最近報告した細胞周期における腫瘍関連マーカーとの検討を行い、乳房外バジェット病における生物学的悪性度の指標となり得る免疫組織学的マーカーの確立を目指している。 〈平成22年度実績〉 乳房外パジェット病症例の標本からムチンコア蛋白サブタイプの発現量を比較するために、未染プレパラートの作成し、各標本において免疫染色を施行した。用いた抗体は、MUC1, MUC2, MUC5A, MCU6とcyclinD1を中心とした関連細胞因子であるRB,、p27、p21の7種類。施行した総数は、約40症例の60病変。 発現量比較に客観性を持たせるため、各標本を施行者以外の複数の皮膚科医師の鏡検によって、陽性・陰性とその分布、発現の強度を比較検討した。さらに、これらの染色結果と臨床情報との相関に関して検討を行った。 具体的には、染色結果と各症例の、1.臨床的・病理学的な腫瘍の拡がり、2.進行の速度や局所破壊性、3.転移の有無、4.化学療法あるいは放射線療法の無効例との照合に関して総括検討を行った。 結果、MUC5AC、およびMUC2の発現に関して症例によって変化が見られた。 なかでもMUC5ACは腫瘍が進展するにしたがってその発現頻度および強度が高くなる傾向を確認した。 今後、さらなる症例数を蓄積して研究の完遂を目指す。
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