研究課題/領域番号 |
22591217
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
門野 岳史 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80292910)
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研究分担者 |
佐藤 伸一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (20215792)
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キーワード | 皮膚腫瘍学 / beta7インテグリン |
研究概要 |
悪性黒色腫に対する抗腫瘍免疫において重要なのは血球細胞が腫瘍へと浸潤することである。昨年度は細胞接着因子であるbeta7インテグリンの抗腫瘍免疫における役割の検討を行った。野生型マウス、beta7インテグリン欠損マウス、およびalphaEインテグリン欠損マウスにB16悪性黒色腫細胞を耳に接種したところ、beta7インテグリン欠損マウスのみにおいて腫瘍の成長が有意に遅延していた。またbeta7インテグリン欠損マウスにおいては腫瘍部へのCD4陽性T細胞の数が増加しており、それに伴って腫瘍局所でのインターフェロンガンマの発現がReal-Time PCRにて検討したところ亢進していた。当該年度は耳だけでなく他の部位における摂取も試みた。悪性黒色腫細胞を足底若しくは腹部に皮下注射した場合は野生型マウス、beta7インテグリン欠損マウス、およびalphaEインテグリン欠損マウスに差は見られなかった。また、B16悪性黒色腫細胞を静脈注射し、肺における転移巣を検討した場合も有意な差が見られなかった。また腫瘍局所でのサイトカインおよびケモカインの産生を更に種類を増やしてRea1-Time PCRにて検討したところインターフェロンガンマに加えてCCL5、CXCL9もbeta7インテグリン欠損マウスにおいて有意に増加していた。最後に野生型マウスおよびbeta7インテグリン欠損マウスの脾臓細胞を用いてCTLアッセイを行ったところ両者に差は見られなかった。以上より、beta7インテグリン欠損マウスにおいては血球細胞自体の抗腫瘍効果は野生型マウスと同等であるが、皮膚での病変に関しては、何らかの要因でインターフェロンガンマを発現するCD4陽性T細胞の浸潤数が増加することにより、抗腫瘍効果が野生型マウスより亢進すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
beta7インテグリン欠損マウスにおける抗腫瘍効果の亢進に関して、更なるデータを積み重ねることができ、またそのメカニズムに関してもいくつかの考えられるメカニズムを否定することによりある程度明らかになってきたため。
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今後の研究の推進方策 |
beta7インテグリン欠損マウスにおける抗腫瘍効果の亢進に関して、そのメカニズムに関してがまだ未解明の部分が残っており、それについて多面的に検討を行っている状態である。また、今までの実験は欠損マウスを用いた実験が主体であり、beta7インテグリンの阻害抗体を用いた検討を今後行う予定である。
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