研究課題/領域番号 |
22591218
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
横関 博雄 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90210608)
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研究分担者 |
佐藤 貴浩 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (30235361)
高山 かおる 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (10420283)
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キーワード | 好塩基球 / 痒疹 / Th2サイトカイン / プロテアーゼ / モノクローナル抗体 / IgE / 蕁麻疹 |
研究概要 |
A研究目的 好塩基球は肥満細胞との類似点が多い細胞であり、高親和性IgE受容体を発現してヒスタミンなどを分泌する。最近になってIgE誘導性慢性皮膚炎症の成立に好塩基球が必須であることが示された。またTh2型免疫反応初期のIL-4産生源として、さらには抗原呈示細胞としても重要な役割を果たしうることが明らかになっている。好塩基球は一般的な染色ではその存在を確認することが困難であったため、皮膚疾患の病変にどの程度浸潤しているのか全く明らかにされていない。種々の皮膚疾患における好塩基球の浸潤や活性化状態について検討した。 B研究方法と結果 24種類の皮膚疾患(136例)の生検皮膚を用いて好塩基球浸潤の有無とその程度を免疫組織学的に検討した。好塩基球特異抗体として抗basogranulin抗体(BB1抗体)を使用した。また一部の疾患については末梢血好塩基球のCD203C発現をフローサイトメトリー法で測定し、活性化状態を評価した。炎症反応における好塩基球の役割の重要性が近年注目されている。24疾患、136症例の皮膚疾患における好塩基球浸潤を検討した。痒疹、持続時間の長い蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、好酸球性膿疱性毛包炎、アナフィラクトイド紫斑、虫刺症、疥癬、白癬などにおいて病変部への顕著な好塩基球浸潤が確認された。尋常性天疱瘡、乾癬、強皮症、全身性エリテマトーデス、肥満細胞症、腫瘍性病変にはみられなかった。また末梢血中の好塩基球におけるCD203c発現をフローサイトメトリー法で観察したところ、痒疹や蕁麻疹患者において発現上昇が確認され、好塩基球が活性化状態にあることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
痒疹の病態解析は人の病変部の解析により娃塩基球が重要な役割を果たすことが明らかにされさらに、痒疹マウスモデルも作成できた。また、好塩基球に特異的抗体も作成でき今後臨床応用へと発展できることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
痒疹モデルマウスを用いて好塩基球上のPSGL-1とL-セレクチンの結合が好塩基球皮膚浸潤において必須な過程であると推測された。今後、好塩基球特異的抗体のみならず接着因子に対する抗体なども作成して治療に役立てていきたい。
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