研究概要 |
最近、 Mammalian target of Rapamycin (mTOR)の神経病変および腫瘍形成における役割が注目を集めてきている。一方、mTOR 系の異常の結果、中枢神経障害と全身の腫瘍発生を引き起こす一連の疾患群(神経皮膚症候群)がある。申請者はこの神経皮膚症候群の一つである結節性硬化症において減少し、てんかんや精神発達遅滞などの神経症状と腫瘍発生に重要な関連のある新規の蛋白質 p40 を見出した。そこで、本応募研究において、この p40がこれら神経皮膚症候群の神経病変と腫瘍形成の両方における共通のキーファクターであると考え、その機構を解明し、ひいては神経症状と腫瘍発生を同時に抑制できる方法を確立することを目的として、p40 や TSC1,TSC2 のノックダウン細胞を用いて p40 と tuberin、hamartin および PI3k-AKT -mTOR 系に関与する蛋白質との関係を調べた。 その結果、 p40 は FKBP12、 FKBP38の発現と強い相関関係を呈し、ラパマイシンや、FKBPs, tuberin, hamartin などと同様に mTOR系の調節に関与する新規の蛋白質であり、hamartin と蛋白レベルで結合し tuberin とは hamartin を介して TH-complex と結合しており、お互いの安定化に関与している可能性が示唆された。
|