研究概要 |
(1)IL-27遺伝子導入マウスB16メラノーマ細胞を同系マウスに接種し、抗CD4抗体を全身投与すると、腫瘍を拒絶するマウスが確認され、その多くは白斑様体毛変化を示した。治療モデルとして、抗CD4抗体を腫瘍接種後の4日目に腫瘍局所に注射してみたが、全身投与と同様に抗腫瘍効果の増強と体毛の白斑様変化が誘導されることを確認した。次に、コントロールベクター導入マウスB16メラノーマ細胞についても同処置を行ったところ、腫瘍拒絶には至らないものの、抗腫瘍が増強されることを確認できた。この抗CD4抗体局所投与による抗腫瘍効果増強は、有効な腫瘍免疫療法を実践していくうえでも重要な知見であると考えている。その抗腫瘍効果増強のメカニズムを調べるため、現在、腫瘍組織のサイトカイン・ケモカイン発現や組織に浸潤している細胞群を、リアルタイムPCRやフローサイトメトリーで解析中である。 (2)乾癬の治療モデルについての予備実験として、imiquimodを利用した乾癬モデルを既報告の論文(J.Immunol.182:5836-5845,2009)に従って行った。その結果、確かに論文と同様の皮膚炎症をC57BL/6マウスとBalb/cマウスにおいて肉眼的かつ病理組織学的に確認することが出来た。しかし、imiquimodの塗布最終日あたりになると、自然に皮膚炎が経過ししていくマウスがいることを確認した。既報告の論文には、そのような明らかな記載はされていないが、TLRトレランスが生じているのではないかと考えた。IL-27による治療的有効性を判断するには、少なくとも2週間ほどの治療観察期間が必要であろうと考えており、このimiquimodを利用した乾癬モデルでは難しいのではないかと考えている。現在、他の乾癬モデルの導入を検討中であり、次年度以降に実行予定を考えている。
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