CD4+ helper T細胞除去による抗腫瘍免疫反応の増強と白斑様体毛変化誘導の免疫学的機序の解明: IL-27産生B16F10メラノーマ細胞では、抗CD4抗体投与による抗腫瘍免疫増強が顕著となることがわかっている。その機序を明らかにするため、B16F10メラノーマ細胞をマウス皮下に接種した7日目に、抗CD4抗体の局所投与を開始し、腫瘍接種14日後の腫瘍組織を摘出し、リアルタイムPCRおよびフローサイトメトリーによる解析を行った。その結果、追加実験も含めて、抗CD4抗体投与群では抗腫瘍性サイトカインが増加し、多数のCD8+細胞やNK細胞が浸潤していることが確認できた。またこれらのエフェクター細胞のみならず、免疫抑制性細胞群の浸潤も伴っていることを確認した。現在、メラノーマ抗原を特異的に認識するCD8+T細胞が誘導されているかの確認実験を準備中である。 マウスを用いた乾癬様皮膚炎モデルの確立: マウス耳介および背部皮膚にIL-23を5日間連続で皮内注すると、耳介の腫脹および皮膚局所のIL-17やIL-22の亢進を認め、組織学的に表皮肥厚を伴った乾癬様皮膚炎が誘導されることを確認できた。このモデルを用いてIL-27が乾癬様皮膚炎に及ぼす影響をIL-27トランスジェニックマウスを用いて検討した。その結果、IL-27トランスジェニックマウスと野生型マウスの間では、乾癬様皮膚炎の程度に有意な差を認めなかった。このモデルは5日間という短期間のモデルであたっため、有意な差が認められなかった可能性もあると考え、IL-23をさらに長期にわたって皮内注を継続する慢性炎症モデルでの検討を予定している。
|