研究概要 |
Triple transgenic mouse(NSE-tTA/TRE-mGluR1/K14-SCF Tgマウス)を用いてシグナル伝達阻害剤により黒色腫形成および増殖に関わるシグナルの同定を行った。PLC,IP3,PKC,MEK阻害剤およびcalmdulinアンタゴニストはいずれも単剤で黒色腫形成を抑制したことより、これらシグナルの活性化がメラノサイトのtransformationに必要であることが判明した。尚、cAMP phosphodiesteraseの阻害剤は黒色腫形成を促進したことより、cAMPはメラノサイトのtransformationを亢進する作用があるものと考えられた。一旦黒色腫が形成された後にこれら阻害剤およびアンタゴニストを投与したところ、黒色腫の増殖はMEK阻害剤のみが抑制し、cAMP phophodiesteraseの阻害剤は促進した。さらに、このcAMP phhophodiesterase阻害剤による黒色腫の増殖促進はMEK阻害剤を同時に投与すると抑制されたことより、cAMPはMEKを活性化して黒色腫の増殖促進に働くことが示唆された。これらの阻害剤投与時の組織をTunnel,PCNA染色、pERK染色で検討したところ、黒色腫の増殖促進は抗アポトーシスによるのではなく、細胞増殖が促進するためで、その際にERKがリン酸化されていることが判明した。 上記マウスにUVBを生後3-5日めに1J/cm2照射し、4週後には親から離してDoxy offの状況で3回/週にUVBもしくはUVAを照射、もしくは生後3-5日目にUVAを14J/cm2照射し、4週後からUVBもしくはUVAをを照射したところ、UVAのみの照射では黒色腫のtumor progressionがみられなかったが、UVBを照射するとtumor progressionがみられることが判明した。
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