走査型電子顕微鏡による形態観察では、足底に生じた色素細胞母斑では表皮基底面上に均一に分布する腫瘍細胞がみられるが、悪性黒色腫では基底面に露出する腫瘍細胞はみられず、表皮細胞の間隙から腫瘍細胞が認められた。免疫組織化学染色では、色素細胞母斑では基底層から突出するように腫瘍細胞の胞巣が認められたが、悪性黒色腫では基底膜に接する腫瘍細胞の胞巣は少なかった。以上の所見から、悪性黒色腫では基底層に局在する腫瘍細胞が基底膜から離れた部位に存在し、皮丘部で増殖した後に横行突起に進展し、真皮内へ浸潤する可能性が示唆された。我々の研究結果は、悪性黒色腫と色素細胞母斑との鑑別に有用であると考えられた。
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