研究概要 |
皮膚有棘細胞癌をはじめとする各種皮膚癌における幹細胞同定を試みた。幹細胞のマーカをin vivo実験で確認する前実験として既存の手術サンプル標本よりFANCD2,CDI33,SPF1,smad4,14-3-3 sigmaの染色を行い解析した。FANCD2,CD133陽性細胞はほとんど認められず、幹細胞マーカーとしては不適当と考えられた。SPF1,smad4,14-3-3 sigmaの発現は、幹細胞マーカーとしては不適当であったが、症例により明らかに発現の差が認められており、予後因子になる可能性があるためさらに解析予定である。また、有棘細胞癌の表皮内癌であるBowen病では、特に外陰部や手指に発症するものでは粘膜型悪性型のヒト乳頭腫ウイルス感染が原因であることが多い。ヒト乳頭腫ウイルスは皮膚の幹細胞に感染すると考えられている。このため、この癌では感染細胞が癌幹細胞になると考えられる。ヒト乳頭腫ウイルス感染のある腫瘍と非感染性の腫瘍とのタンパク発現の違いを用いることにより癌幹細胞をとらえられると考えた。両者の違いをサイクリンE、Aなどの発現を中心に検討した。また、手術サンプルより得た有棘細胞癌、皮膚隆起性線維肉腫細胞を培養し、さらには担癌モデルマウス作成のため、これらのサンプル組織または培養細胞を用いてヌードマウスへの皮下移植を行なった。これらの担癌マウスは次年度のin vivo解析に用いる予定である。
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