1998年1月から2008年12月までの間に鹿児島大学病院皮膚科で診断され、その後、鹿児島大学病院皮膚科で治療された菌状息肉症およびATL患者を集積し、診断時の臨床データおよび2009年5月時点での転帰を登録した。ATLに関しては、HTLV-1サザンブロットの未施行・陰性例、皮膚病変のない症例、早期脱落例を除外した75例が登録され、そのうち20例が皮膚型(皮膚のみに病変を有し末梢血異常リンパ球が5%未満のくすぶり型)に分類された。原病死をエンドポイントとした生存期間からKaplan-Meier法により生存曲線を計算し、群間の生存曲線をログランク検定を用いて比較した結果、全症例においては臨床病型分類が、皮膚型においては皮膚腫瘤の存在が、それぞれ重要な臨床的予後因子であることが確認された。また、皮膚生検組織の免疫染色により腫瘍細胞におけるケモカインレセプター(CXCR3、CCR4)と細胞分化系列特異的転写因子(T-bet、GATA-3、Foxp3)の発現を解析した結果、単変量解析で有意な皮膚型ATLの生物学的予後因子としてCXCR3およびFoxp3の発現を新たに同定した。菌状息肉症に関しては、予後因子解析に必要な早期症例数が集積できなかったため、新規症例の集積を継続中である。
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