皮膚原発のATL(皮膚型ATL)の予後予測モデルを構築するために、1998年から2009年の間に鹿児島大学病院皮膚科で診断・診療した皮膚病変を伴うくすぶり型ATL患者42人の予後因子を解析した。臨床的予後因子として、年齢、性別、performance status、B症状、皮膚病変のタイプ、皮膚病変の範囲、bulky病変、組織学的深達度、末梢血病変、肺病変、末梢血好酸球増加、貧血、血小板減少、BUN高値、Alb低値、LDH高値、CRP高値、可溶性IL-2レセプター値を選択し、生物学的予後因子として、腫瘍細胞におけるCD3、CD4、CD8、CD25、CD30、Ki-67、CXCR3、CCR4、T-bet、GATA3、Foxp3、pSTAT3、IRF4、BCL2、p16、p53の発現を解析した。全死亡をエンドポイントとした多変量解析では、年齢、LDH高値、可溶性IL-2レセプター値が有意な予後不良因子であり、紅皮症とCXCR3の発現は予後良好因子であった。急性型・リンパ腫型への移行と原病死をエンドポイントとした場合、LDH高値と可溶性IL-2レセプター値がリスク因子であり、紅皮症およびCXCR3とT-betの発現は進行のリスクを下げる因子であることが明らかになった。同定された予後因子に基づいて構築した予後予測モデルでは、いずれのモデルにおいても、層別化された全てのリスク群の中に早期に死亡・進行する一群が含まれており、重要な未知の予後因子の存在が示唆された。
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