当該年度では、昨年同様にATL患者における皮膚ランゲルハンス細胞へのHTLV-1感染の同定を行うことを目的とした。患者皮膚病変の凍結切片を用いて、皮膚ランゲルハンス細胞をgoat anti-Langerin IgG、HTLV-1ウイルス関連蛋白をmouse anti-HTLV-1 p24で染色し、Alexa Flour 488 rabbit anti-mouse IgGとAlexa Flour 594 donkey anti-goat IgGを用いて2重蛍光染色を行った。陰性コントロールは正常人皮膚凍結切片を用いた。しかし、ランゲルハンス細胞は同定できたが、ウイルス関連蛋白の発現をランゲルハンス細胞内に同定することは出来なかった。そのため、HTLV-1 HBZ遺伝子のin situ hybridizationを予定した。しかし、他施設でリンパ節の腫瘍細胞内にはHTLV-1 HBZ遺伝子発現を同定ができたが、皮膚での腫瘍細胞は同定が困難であったと報告された。以上より、皮膚ランゲルハンス細胞内でのウイルス同定はさらに困難であると判断した。 そこで、樹状細胞へのHTLV-1感染、ならびにT細胞への樹状細胞を介した感染の一連の過程を試験管内で再現し、この過程における樹状細胞、T細胞の免疫学的、分子細胞学的変化の観察を行う予定である。
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