研究概要 |
我々は以前より、日本人のみならず、海外からも広く眼皮膚白皮症(OCA)症例や遺伝性対側性色素常症(DSH)症例の遺伝子診断依頼に対して対応してきた。その結果、下記の結果が得られた。 (1)OCAの遺伝子診断:これまでに当大学にコンサルトされた85症例の解析を行なった。その結果、1型13例(15%)、2型4例(5%)、3型1例(1%)、4型12例(14%)、HPS1型13例(15%)、HPS4型1例(1%)、不明例41例(48%)の結果であった。軽症の症例が多く、依然として原因遺伝子不明例が多い。 (2)OCA3症例の遺伝子診断:症例は1歳女児。生下時より頭髪が金色、褐色の眉毛と虹彩、両親に比べ白色の皮膚を呈した。磐部には小さいながらも蒙古斑が認められた。他の症状としては、眼振はなく、わずかに日焼けによる色素沈着も認め、OCAとしては軽症であった。OCA3の原因遺伝子であるTYRP1にc. 88T>C, p. C30Rとc .1100delG, p. 367fsX384の変異を認めた。これらはいずれも新規遺伝子変異であった。後者のフレームシフトを伴う変異については明らかに病的変異であるが、前者のミスセンス変異についてはメラニン合成機能消失について明らかでなかったため、OCA3型モデルマウスより樹立した培養メラノサイトを使用してin vitroでメラニン合成活性能の消失を確認した。以上より、本症例をOCA3のcompoundheterozygoteと診断した。日本人で初めての報告である。 (3)遺伝性対側性色素異常症症例の遺伝子診断を行ない、16種類の新規遺伝子変異を明らかにした。
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