研究概要 |
A)遺伝性色素異常症の遺伝子診断を行った。眼皮膚白皮症(OCA)についてはこれまでに101人の患者を集積し、遺伝子診断により下記のようなサブタイプを明らかにした。OCA1 17人(16.8%), OCA2 7人(6.9%), OCA3 2人(2.0%), OCA4 17人(16.8%),HPS1 16人(15.9%), HPS4 2人(2.0%), 原因遺伝子不明40人(39.6%)。OCA1とOCA4、ならびにHPS1の頻度が高いことはこれまでの報告通りであるが、OCA3やHPS4が複数例明らかになったことが注目される。また、原因遺伝子不明例が40%存在することから、上記以外の未知の遺伝子が日本人眼皮膚白皮症の主要遺伝子の1つであることが示唆される。 B)遺伝性対側性色素異常症に関しては、43例の患者試料の集積を行い、うち31名に原因遺伝子であるADAR1遺伝子に病的変異を認めた。一方で、12名には変異を認めなかった。これらの症例の臨床症状はいずれも非典型例であった。 C) 遺伝性対側性色素異常症(DSH)の病態解析については、メラノーマ細胞で安定ノックダウン細胞を樹立し、各種ウイルス(計18種類)に関する感受性を調べた。その結果、ある種のウイルスに対して、ノックダウン細胞でコントロール細胞に比べ感受性が高くなる現象が認められた。現在その詳細を検討中である。DSH発症に関する病態とウイルス感染の関係を強く示唆するものである。 D)DSHの病態に関連して、原因遺伝子であるADAR1はINF-1の反応を抑制する機能が報告されてきたが、DSHの患者では健常人に比べINF-1の反応が大きく影響されており、INF-1の下流に位置するいくつかの遺伝子の発現が過剰になっていることを示した。
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