近年、われわれはIL-22レセプター(IL22R)の発現が乾癬の表皮各細胞で増強していることを報告した。IL22RのリガンドであるIL-22は、乾癬の病態形成に必須のサイトカインであるが、IL22Rの発現の増強は、培養表皮角化細胞においてIL-22の働きを増強することを確認しており、IL22Rのさらなる検討の重要性を示している。ここで問題となるのは、培養表皮角化細胞がIL22Rをほとんど発現しないことである。そのため、アデノウイルスベクターを用いてIL22Rを発現させて検討してきたが、三次元培養皮膚の表皮角化細胞においては、IL22Rの発現があることを確認できた。そこで、より生体の構造に近い三次元培養皮膚での検討を開始した。 しかし、三次元培養皮膚においても、IL-22の添加で誘導されるSTAT3のリン酸化はわずかであり、IL-22で誘導される遺伝子の発現レベルも低く、通常、生体ではIL-22に対する反応は制御されていると推測された。そこで、乾癬においてIL22Rの発現を増強させる要因について検討したところ、IFN-α刺激がIL22Rの発現が増強することを見いだした。IFN-αが乾癬の発症に関与するということが最近注目されているが、その作用機序については明らかでなかった。三次元培養皮膚においてIFN-αの添加は、IL22Rの発現をmRNAレベル、蛋白レベルで増強し、IL-22の添加によるSTAT3のリン酸化、IL-22誘導遺伝子発現も顕著に増強した。以上の結果はIFN-αが乾癬モデルの作成に重要な要因の一つであることを明らかとしたが、IFN-αにより処理した三次元培養皮膚はその後の長期の培養に耐えることができず、従って、今後の検討においては、レンチウイルスを用いてIL22Rの発現を増強させた三次元培養皮膚を用いることが最適であると考えた。
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