IL-22RのリガンドであるIL-22は、乾癬の病態形成に必須のサイトカインであり、IL-22のシグナルにおいては特にSTAT3のリン酸化とその活性化が重要であることが知られているが、実際にSTAT3がIL-22により誘導される遺伝子の発現にどのように関与しているのかほとんど検討されていない。そこで、HB-EGF、IL-8、S100A7、HBD2など乾癬でいずれも発現が増強している蛋白が、IL-22刺激により遅発性に発現が誘導されることに注目して検討し、STAT3の活性化を介して産生されるbcl-3がこれらの遺伝子発現に重要な役割を果たしていること、bcl-3によるこれら遺伝子発現にはp50の存在が必要であることを明らかにした。そこで、乾癬の病変部に実際にbcl-3の発現が増強しているのかを検討した。正常皮膚、乾癬皮膚において、免疫組織染色においてbcl-3は乾癬病変の表皮の核に強く発現しており、この発現はやはり発現が増強しているp50の発現パターンと一致していた。これらの所見は、乾癬の病態におけるIL-22の重要性を明らかとし、IL-22Rを強発現させた表皮角化細胞を用いた三次元皮膚培養皮膚が乾癬モデルになりうることを示唆する。
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