研究課題/領域番号 |
22591242
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
高石 樹朗 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (10303223)
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研究分担者 |
中島 喜美子 高知大学, 教育研究部・医療学系, 講師 (20403892)
佐野 栄紀 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (80273621)
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キーワード | 乾癬 / モデルマウス / Th17 / IL-23 / IL-22 / Stat3 |
研究概要 |
本研究は、我々が維持している乾癬モデルマウスであるK5.Stat3CマウスとIL-22欠損マウスおよびIL-23p19欠損マウスを交配して新たなマウス作出したうえで、これらサイトカインの乾癬様皮疹形成に果たす役割を明らかにしようとするものである。 平成22年度に得られた結果に基づいて、平成23年度は、TPAによる皮疹形成誘導刺激の初期に何らかのサイトカインあるいは成長因子等が変化しているのか、定量的PCR法を用いてそれらの遺伝子発現を解析した。刺激に対する初期反応を捉えるために、TPAを2回塗布した背部皮膚から抽出したRNAを試料として用いた。K5.Stat3C:IL-23p19-/-ではK5.Stat3C:IL-23p19+/-と比較すると、期待されたようにIL-17AとIL-22の発現は検出されず、加えてIL-19ファミリーサイトカインであるIL-19、IL-20およびIL-24の発現が減少していた。また、EGFRリガンドやKGFなどの成長因子の発現が減少していた。K5.Stat3C:IL-22-/-ではK5.Stat3C:IL-22+/-と比較するとIL-23p19、IL-19、IL-24、IL-6、IL-10などのサイトカイン、Ereg、TGF-a等増殖因子の若干の発現増加が示された。今回の結果から、IL-23によって制御され、かつIL-22とは異なる経路によって乾癬様皮疹が誘導されることが示唆された。IL-22の別経路としてIL-17依存性のIL-19/IL-24やEGFRリガンド、KGF等が寄与すると推測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデルマウスを用いた研究から乾癬様皮疹形成にIL-23が必要なこと、IL-22とは別の経路が重要な役割をになっていることが、各種サイトカイン、増殖因子等の発現解析より示唆される結果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
乾癬モデルマウスを用いて、IL23依存性かつIL-17/IL-22経路とは異なる乾癬皮疹形成に関わる分子機構を明らかにする。まずは、K:5.Stat3C:IL-23p19-/-とK5.Stat3C:IL-17-/-:IL-22-/-の両者を、皮疹誘導に対する反応性やサイトカインの制御等に関して比較検討する。 これまでの問題として、K5.Stat3Cトランスジェニックマウスの遺伝的背景がFVBであったために、骨髄置換等による検討が困難であった。この問題を解決する目的で、C57BL6を遺伝的背景に持つK5.Stat3Cトランスジェニックマウスを作出した。
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