研究課題/領域番号 |
22591247
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
相原 道子 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90231753)
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研究分担者 |
五嶋 良郎 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (00153750)
長嶋 洋治 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (10217995)
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キーワード | セマフォリン3A / アトピー性皮膚炎 / コラーゲントリペプチド / C-ファイバー / かゆみ / 治療 |
研究概要 |
本研究では、アトピー性皮膚炎(AD)および〓痒性皮膚粘膜疾患において、セマフォリン(Sema)3Aの発現および既存の治療薬によるSema3Aの発現の変化と治療効果との関係をヒトおよび動物モデルを用いて明らかにすることを目的とした。さらに、これまでに皮膚の神経に作用して知覚の閾値を正常化する治療薬は開発されていないことから、〓痒を伴う皮膚疾患粘膜疾患に対する新規治療薬の開発を目的とした。 1.Semaphorin3A外用のアトピー性皮膚炎の痒みに対する治療効果について:ADモデルマウス(NC/Nga)で表皮におけるSema3Aの発現低下と神経線維の表皮内伸長を確認した。次に、Sema3Aを含有した外用薬を作成しNC/Ngaマウスを用いてその効果を注射薬と比較検討した。その結果、Sema3Aを皮内注射したマウスでは皮疹の改善と掻破行動の低下がみられたが、同薬外用マウスではコントロールの白色ワセリンを塗布したマウスとを比較して有意な違いはみられなかった。これは外用薬の安定性に問題があるためと考えられた。 2.アトピー性皮膚炎およびドライスキンの痒みとコラーゲントリペプチド内服の表皮Sema3A発現と表皮内神経線維伸長への影響の検討:NC/Ngaマウスおよびアセトン誘発ドライスキンマウスを用いて、コラーゲントリペプチド(CTP)の痒みおよび皮疹に対する効果をみた。その結果、ドライスキンマウスでは表皮内神経線維の減少、掻破行動の減少、Sema3Aの産生の増加、神経成長因子(NGF)の産生の減少を認めた。また、CTP内服により、真皮内のHyaluronan synthase 2の発現の増加、真皮内のヒアルロン酸の増加、TEWLの改善を認めた。これらはCTPの乾燥皮膚への有用性を示すものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
〓痒性皮膚粘膜疾患におけるSema3Aの発現低下をアトピー性皮膚炎、乾癬、痒疹、アレルギー性鼻炎で証明した。さらにこれらにおけるSema3Aの発現の亢進(正常化)と表皮内および粘膜内神経線維の減少(正常化)をSema3Aの発現を誘導する薬剤やSema3Aの点鼻で誘導することにより、症状の改善を認めた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度は、今後安定型のSema3Aを含有した軟膏を作成し、アトピー性皮膚炎や乾燥皮膚などにおける皮膚のかゆみに対する有効性を検討する。また、コラーゲントリペプチド(CTP)がどのような機序でSema3Aや神経成長因子(NGF)の発現調節を行なうのか、in vitro実験で明らかにする。さらに、ヒアルロン酸などの乾燥皮膚のかゆみに有効な外用薬とSema3Aおよび神NGFの発現、さらにそれらのレセプターの発現との関係を明らかにする。
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