我々はStevens-Johnson 症候群/中毒性表皮壊死症(SJS/TEN)の発症時にはエフェクターT細胞の活性化を抑制するはずの制御性T細胞の機能が著明に低下しており、そのために過度のエフェクターT細胞の活性化が生じ重症の薬剤アレルギーが起きることをすでに報告した。本年度は、SJS/TEN症例において、ステロイドパルス療法の奏効機序を検証するために、治療前後において白血球数、白血球分画、血小板数の変動を検索した。検査はステロイドパルス療法前、治療終了直後、治療終了1週間後において施行し、白血球数、リンパ球、単球、血小板数を経時的に解析した。ステロイドパルス療法が有効であった症例では、治療前に比較してパルス療法直後に白血球数と血小板数が有意に増加し、治療終了1週間後にさらに増加が認められた。単球は治療前に比べて治療直後に有意に減少し、その後に増加傾向がみられた。また、リンパ球数はパルス療法終了1週間後に有意に増加していた。一方、ステロイドパルス療法が無効であった1症例では、治療直後に白血球数、血小板数の増加は検出されなかった。検証例数は少ないものの、ステロイドパルス療法が有効であった症例と無効であった症例において、治療後の白血球数、その分画、血小板数の変動において相違が検出された。
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