研究概要 |
[目的] 接触アレルギーは、皮膚の抗原提示細胞と浸潤するリンパ球によって引き起こされる炎症反応であるが、その機序に関しては依然明らかになっていない部分が多々ある。われわれの研究では、抗原提示細胞である皮膚ランゲルハンス細胞(Langerhans cell, LC)とそれに隣接する角化細胞(keratinocyte, KC)の特に接着に着目し、両者の相関を解明することによって接触アレルギーの機序を明らかにすることを目的としている。そのために、LCおよびKCに関与する接着分子を蛍光発色させるマウスを作成し、ex vivo, in vivoで観察する。 [研究成果] 平成22年度の研究は、LC-KCの相関を可視化するためのマウス作成の予備実験が主体である。 (1) Desmoglain(Dsg)はDesmosomal cadherinを構成する主たる接着分子のひとつである。Dsg3-EGFP TGマウス(RIKEN Bio Research Center)を購入し、コロニーを作成した。 (2) Dinitrofluorebenzene(DNFB)でTGマウスを感作・惹起することにより接触アレルギーを誘導した。同部の皮膚の経時的な組織標本を作製し、共焦点顕微鏡で観察した。その結果、Dsg3の分布・位置に特に変化は見られなかった。また、蛍光ラベルされた接着分子(E-cadherin, Occludin, ZO-1)の抗体を用いた免疫染色においても、明らかな分布・位置に特に変化は見られなかった。 (3) 次に、表皮細胞を培養し、種々の接着分子の蛍光発現ベクターを作成しトランスフェクションを試みた。現在のところ、効率よく安定的に発現できるベクターの作成にはいたっていない。
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