研究概要 |
皮膚における接触アレルギーは、外来刺激に対する抗原提示細胞と浸潤するリンパ球によって引き起こされる炎症反応であるが、その機序に関しては依然明らかになっていない部分が多々ある。本研究では、表皮の抗原提示細胞である皮膚ランゲルハンス細胞(Langerhans cell,LC)とそれに隣接する角化細胞(keratinocyte,KC)の相互関係、特に接着機構に着目し接触アレルギーでのKC-KC間およびKC-LC間の相関を解明することを目的とする。 [結果] (1)Desmoglain(Dsg)はDesmosomal cadherinを構成する主たる接着分子のひとつである。Dsg3-EGFPトランスジェニックマウスの皮膚に種々の刺激(Dinitrofluorebenzene(DNFB)塗布、テープストリップ、掻破刺激)を与え、共焦点顕微鏡を用いてDsg3の静的および動的変化を観察した。DNFB感作刺激では、KC-KC間でのDsg3の有意な変化は観察されなかった。テープストリップおよび掻破刺激では、Dsg3のごくわずかな動的変化が観察された。 (2)皮膚の組織標本を作製し、Langerin(CD207)で染色して刺激によるKC-LC間の変化を観察した。その結果、LCに隣接するDsg3の分布・位置に特に変化は見られなかった。また、蛍光ラベルされた接着分子(E-cadherin,Occludin,ZO-1)の抗体を用いた免疫染色においても、分布・位置に明らかな変化は見られなかった。
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