研究課題
表皮角化細胞間はdesmosomeに代表される接着構造により強固に結合している。一方、皮膚ランゲルハンス細胞は抗原を補足したのち、表皮から所属リンパ節へと遊走する。本研究では、角化細胞と皮膚ランゲルハンス細胞の表皮内での細胞動態について検討した。角化細胞接着分子とランゲルハンス細胞を可視化するために、2種類の遺伝子改変マウス(desmoglein(Dsg) 3-EGFP、CD11c-EYFP)を交配したマウスを作製し、生体での角化細胞およびランゲルハンス細胞の動態を共焦点顕微鏡で経時的に観察した。定常状態では、ランゲルハンス細胞は定位置のままで遊走せず、角化細胞のDsgの発現はランゲルハンス細胞の細胞体および樹状突起と接する部位に一致して減弱あるいは消失していた。ハプテン(DNFB)塗布により誘導された接触皮膚炎モデルでは、感作相・惹起相の両相で、DNFB塗布数時間後、約30%のランゲルハンス細胞に樹状突起の伸長・退縮動作の増強が観察された。またランゲルハンス細胞の表皮内遊走は、感作相・惹起相の両相でDNFB塗布2-6時間後に0.5-2%の細胞にみられ、とくに惹起相では15-30時間後に1-8%の細胞に認めらた。遊走時にはランゲルハンス細胞は樹状突起を短縮しアメーバ様に動き、移動方向は不規則であった。一方角化細胞は、ランゲルハンス細胞の遊走の動きに応じて柔軟に変形し、同時にDsgの発現も減弱した。この減弱は遊走後数分以内に速やかに回復した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Dermatolo Sci.
巻: 66 ページ: 144-153
10.1016/j.jdermsci.2012.02.008.