研究課題
アルコール依存症者において脳萎縮と認知機能障害が認められるが、断酒後には脳萎縮は一定の回復(脳容積の増加)や認知機能の改善をみる。一方、脳由来神経栄養因子(BDNF)は神経細胞の生存・成長やシナプスの機能など神経細胞の成長を調整する成長因子であり、神経保護作用を持つとされ、それをコードする遺伝子多型は多くの精神疾患の関与が示されている。本研究では、BDNFの持つ神経保護作用に着目し、「アルコール依存症者にみられる脳萎縮や認知機能障害、さらに断酒による脳萎縮・認知機能障害の回復にBDNF遺伝子多型が関与している」という仮説を検証する。最新の神経画像解析法を用い脳萎縮とその回復を、また確立された認知機能評価表を用い、認知機能障害とその改善を評価し、BDNF遺伝子多型との関連を調査することで、アルコール依存症の中枢神経におけるBDNFの神経保護作用の関与を明らかにすることを目的とする。平成24年度までに名古屋市の絋仁病院アルコール専門病棟に入院中のアルコール依存症患者で、入院までの3年間に寛解状態のなかった者からDSM-IVのI軸、II軸で他の診断を満たす者、重篤な身体疾患やウェルニッケ脳症やコルサコフ症候群を合併する者は除外した。平成24年度に被験者のリクルートを全て終了した。アルコール依存症群10名(年齢48.7±7.2)と、年齢性別を一致させた健常対照群10名(47.2±7.4)についてMRI撮像、認知機能評価、血液検体の採取が終了し、現在これらのデータを解析中である。解析終了後に欧米専門雑誌に投稿予定である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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