研究課題
トレースアミン(TA)は、脳内に微量しか存在しないが、モノアミン神経伝達を調節し、精神疾患の発症に関わる。TA合成ニューロンとみられるD-ニューロンは、セロトニンニューロンでもドーパミンニューロンでもない、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)含有ニューロンである。2001年のTA受容体のクローニング以来、TA関連受容体(TAAR)に関する薬理学的研究は著しく進展したが、それでも、TAARは、分布、機能、リガンド、代謝系に種族差があるため、精神医学方面では死後脳研究が不可欠である。遅れが指摘される、本邦のブレインバンクシステムの構築に関連し、同システムの重要性を啓蒙書などの執筆活動により強調した。福島精神疾患脳バンクサンプルを用いて、TA関連受容体1型(TAAR1)の一次抗体(LSB社、Anti Trace Amine)による免疫組織化学を開始した。脳試料のうち、側坐核は組織の保存状態が不良であったため、これまでDARPP-32免疫陽性細胞の定量結果(Kunii,et al.Med Mol Morphol,in press)を報告できた脳領域である、前頭前皮質のパラフィン切片を用いた。福島精神疾患脳バンクの統合失調症11例と、年齢・性・PMIを対応させた対照脳11例の免疫染色を行い、画像解析ソフトWinRoofを用いて、陽性細胞数を定量解析中である(和田明助教、西浦継介大学院生、研究補助1名)。また、滋賀医科大学法医学講座(西克治教授)の法医剖検脳のうち、統合失調症例および対照脳のパラフィン切片を用いてTAAR1(LSB社、Anti Trace Amine)、神経幹細胞のマーカーであるMusashi1、NESTINの一次抗体による免疫染色を開始した。TAARとの関連は不明だが、質量分析顕微鏡を用い、福島精神疾患脳バンクの統合失調症症例の前頭葉において、膜脂質の代謝異常が存在する可能性を指摘した。
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