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2010 年度 実績報告書

抗精神病薬シグナル伝達を利用した統合失調症の新たな治療標的分子の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22591269
研究機関独立行政法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

服部 功太郎  独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病研究第3部, 室長 (50415569)

キーワードFynキナーゼ / D2受容体 / NMDA受容体 / 統合失調症
研究概要

本研究の主目的は「抗精神病薬により活性化するFynと下流分子の精神薬理学的機能を明らかにすること」であり、H22年度は下流分子AおよびBのリン酸化部位を明らかにし、その機能解析に着手する計画であった。
まず、下流分子Aについてはリン酸化部位が明らかになった。すなわちマウスにHaloperidolおよびClozapine,Olanzapineを投与し、主要な6個のチロシン残基をリン酸化特異抗体で解析したところ、いずれの抗精神病薬も機能的に重要な3つの残基のリン酸化を有意に亢進させた。一方、下流分子Bについて、上記の抗精神病薬でリン酸化が亢進することは免疫沈降で確認したが、LC-MS/MS解析によるリン酸化部位の同定には成功しなかった。すなわち、薬物投与後のマウス脳を材料とし、リン酸化物をカラム精製後、分子Bに対する抗体で免疫沈降し、SDS-PAGEのゲルを切り抜いてLC-MS/MS解析を数度行ったが、分子自体は検出されるもののリン酸化部位の同定には至らなかった。原因は夾雑物の混入と量の少なさとが考えられた。次年度は専門家のアドバイスを受けつつ再挑戦する。
また、当初の計画では本年度の後半より培養細胞を用いた機能解析を予定していた。しかし、学会等での指摘をたびたび受け、精神症状発現におけるFynカスケードの役割を明らかにするためには、細胞や動物を用いるよりも、当初予定していなかった患者死後脳を用いた解析の方が、より直接的で重要であると判断した。そこで、統合失調症、うつ病等各15例を含む、死後脳前頭皮質60検体をStanley研究所より譲り受け、Fynの活性状態、下流分子の測定をブラインドで行った。測定を正確に行うため、新たなFynのSandwich ELISAと下流分子のドットプロット解析系を構築した。その結果、FynおよびFynの活性が統合失調症で有意に亢進していることが明らかとなった。一方、下流分子群の量自体には変化がなかった。今後、下流分子群のリン酸化や薬物投与量との相関等も解析し投稿する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Phenotypic characterization of a new Grin1 mutant mouse generated by ENU mutagenesis.2010

    • 著者名/発表者名
      Furuse T
    • 雑誌名

      Eur J Neurosci

      巻: 31 ページ: 1281-1291

    • 査読あり
  • [学会発表] 統合失調症死後脳におけるNMDA受容体およびFynの解析2010

    • 著者名/発表者名
      服部功太郎
    • 学会等名
      第32回生物学的精神医学会
    • 発表場所
      リーガロイアルホテル小倉(小倉)
    • 年月日
      2010-10-08
  • [学会発表] 統合失調症・気分障害のゲノム・死後脳を用いたFynチロシンキナーゼの解析2010

    • 著者名/発表者名
      服部功太郎
    • 学会等名
      第29回躁うつ病の薬理・生化学的研究懇話会
    • 発表場所
      箱根パークス吉野(箱根)
    • 年月日
      2010-06-19
  • [学会発表] Analyses of fyn-tyrosine-kinase in the genome and post-mortem brains of psychiatric disorders2010

    • 著者名/発表者名
      Hattori K
    • 学会等名
      XXIIV International College of Neuropsych opharmacology
    • 発表場所
      Hong Kong Convention and Exhibition Centre(香港)
    • 年月日
      2010-06-09
  • [学会発表] Evaluation of fyn-tyrosine kinase in the brains of psychiatric disorders2010

    • 著者名/発表者名
      Hattori K
    • 学会等名
      2^<nd> Biennial Schizophrenia International Research Conference
    • 発表場所
      Firenze Fiera Congress Center(イタリア)
    • 年月日
      2010-04-11

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公開日: 2012-07-19  

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