12~18歳の児童思春期外来患者の精神病ハイリスク群について調査を行った。先行研究として、平均年齢15±2歳の初診患者88名に対し調査を行い、30名のARMS患者群30名を抽出した。平均観察期間8か月で統合失調症への移行率が47%であった。結果はこれまでの報告と同程度であり、児童思春期のみを対象としても一定の確率で顕在化に至ることが明らかとなった。ARMS群の63%が広汎性発達障害(以下PDD)であった。これらを第12回東北児童青年精神医学会にて報告した。 次にARMSとPDDの関連について検討した。12~18歳の患者182人を対象として調査し、74例のARMS患者を抽出した。44例のPDD群と非発達障害(以下NPDD)群30例に分けた。平均観察期間は14±11.6ヶ月であった。初期診断は神経症性障害が42%、大うつ病性障害が31%であった。観察期間12ヶ月時点での統合失調症への移行は17例(23%)であった。PDD群とNPDD群で移行率に差はなかった。本研究により思春期の子供たちが抑うつや不安症状に伴い、自我障害を呈することがあり、ARMSの基準に該当する根拠となりうることが示唆された。これらを第51回日本児童青年精神医学会及び第14回日本精神保健予防学会にて報告した。 さらに薬物療法を受けた74名の患者を調査した。12か月以上観察出来た患者35名のうち、抗精神病薬を投与されていた患者34名を抽出した。投与内容はARMS診断時及び12ヶ月時点で抗精神病薬と抗うつ薬の併用が最も多かった。併用も含め34名に抗精神病薬が投与されていた。平均投与量(CP換算)は初期投与量が83.1mg、維持量は191mgであった。スィッチングは平均1.1回であり、主な変更理由は眠気、食欲増加、月経不順などであった。12ヶ月顕在化群と12ヶ月未発顕在化群において、薬物投与量に差はなかった。これらを第20回日本臨床精神神経薬理学会で報告した。 現在論文投稿中である。
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