研究概要 |
(1)思春期世代での精神科受診における精神病前駆状態の疫学 ARMSにおいてBACS-JおよびWAIS-IIIあるいはWISC-IIIを施行し、顕在発症群と非顕在化群に分けて比較検討を行った。顕在化群ではARMSの段階で認知機能障害が始まっていることが示唆された。詳細は第6回日本統合失調症学会で報告した。 (2)精神病前駆状態と広汎性発達障害の類似と相違 思奉期ARMS中、PDDの基準を満たす子どもたちは60%程度だが、その多くはPDD-NOSであり、また12ヶ月観察時点での統合失調症顕在化のリスクはアスペルガー障害ではPDD-NOSやNPDDと比べ、低い可能性が示唆された。詳細は第52回日本児童青年期精神医学会で報告した。 (3)精神病前駆状態における薬物療法の治療的介入の意義 平成22年に一部報告し、現在再集計中である。 (4)思春期における抗精神病薬の安全性と妥当性の検討 抗うつ薬SSRIによるActivation symptomsの10項目の出現について統合失調症発症群と統合失調症未発症群で比較すると易過敏性は両群50%と同等であったが,敵意,衝動性は発症群で50%だったのに対し未発症群では20%の出現率であった.全体的にみるとActivation symptomsの項目は抑うつの改善とともに消失するものもあり,risk & benefitが確認された.詳細は第21回日本臨床精神神経薬理学会で報告した。
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