研究課題
I 研究の目的:感情の共感性のコントロール不全は広汎性発達障害の特徴のひとつで、この未熟さが「他者理解の未発達」となり、対人関係の障害の一因になっていると考えられる。我々は、成人は固より、世界でも2か所のみで実現されている幼児専用脳磁計(Magnetoencephalography ; MEG)を使って、幼児の知覚の「共感」に関連した生理学的現象の定量化を試みた。II 実験方法:定型発達児46名(50±10ヶ月)と成人18名を対象に、我々が開発した『共感誘発視覚刺激』中の脳磁図を測定し、等価電流双極子(equivalent current dipole, ECD)法で解析を行った。『共感誘発視覚刺激』として左第二指と左足甲に対し鉛筆やフォーク等で突く動画をそれぞれ30秒間ずつ偽ランダムな順番で被験者の目の前に4回ずつ提示した。その間に、ピエゾ駆動触覚刺激装置により被験者の左第二指に250~750msの間隔で、軽くペン先でつつくような軽い触覚刺激を与え、触覚誘発磁場を等価電流双極子(ECD)法で得られるIntensityについて比較した。III 結果:定型発達児では16例、成人では14名から二つの視覚情報提示条件で比較可能なECDの推定結果を得ることができた。定型発達児群、成人群共に、足を突く動画において体性感覚野の反応が指を突く動画に比べ小さくなる傾向があり、両群共に、指と足の動画間に統計的な有意差が認められた。すなわち定型発達児の結果は、成人の結果と同じ傾向であった。IV 考察及び結論:結果から、非自己のおかれている状況を視覚情報から得て、その情報がそれに類似した刺激を受けた場合、体性感覚野反応に影響を及ぼすという現象を捉えることができた。
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http://bambiplan.w3.kanazawa-u.ac.jp/
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