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2011 年度 実績報告書

広汎性発達障害の体性感覚野での共感の影響

研究課題

研究課題/領域番号 22591276
研究機関九州大学

研究代表者

REMIJIN GeratdBastiaan  九州大学, 国際教育センター, 准教授 (40467098)

キーワード脳科学 / 幼児 / 脳磁図 / 体性感覚 / 自閉症
研究概要

I研究の目的:感情の共感性のコントロール不全は広汎性発達障害の特徴のひとつで,この未熟さが「他者理解の未発達」となり,対人関係の障害の一因になっていると考えられる.我々は,成人は固より,幼児専用脳磁計(MEG)を使って,幼児の知覚の「共感」に関連した生理学的現象の定量化を試みた.
II実験方法:定型発達児46名(50±10ヶ月)と成人25名を対象に,我々が開発した『共感誘発視覚刺激』中の脳磁図を測定し,等価電流双極子(equivalent current dipole, ECD)法で解析を行った.『共感誘発視覚刺激』として左第二指と左足甲に対し鉛筆やフォーク等で突く動画をそれぞれ30秒間ずつ偽ランダムな順番で被験者の目の前に提示した.その間に,ピエゾ駆動触覚刺激装置により被験者の左第二指に250~750msの間隔で,軽くペン先でつつくような軽い触覚刺激を与え,触覚誘発磁場を等価電流双極子(ECD)法で得られるintensityについて比較した。さらに,成人と幼児のECD潜時の分析,および,160個の測定チャネルそれぞれに対する分析を行った.
III結果:3つすべての測定条件に対して明確な双極性データが得られたのは,参加した46名の幼児のうち14名であった.これら14名の幼児の結果と成人の結果とを比較したところ,幼児における双極性潜時の平均のほうが,成人群よりも有意に長かった(±73ms vs ±54ms).また,幼児群における双極性強度の平均は,成人群よりも有意に高かった(±45fT vs ±25fT ; femto Tesla).これらの違いは,神経系の成熟度の違いに原因があると考えられる。これらの違いがあるにもかかわらず,我々は,成人群と幼児群で同様の結果を得た.すなわち,どちらの群においても,つま先を突く動画を見たときのほうが,指を突く動画を見たときよりも,ECD強度が低くなることを発見した.
IV考察及び結論:結果から,非自己のおかれている状況を視覚情報から得て,その情報がそれに類似した刺激を受けた場合,体性感覚野反応に影響を及ぼすという現象を捉えることができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では,これまで収集されてこなかった,3-4歳児における視触覚の脳内処理に関してデータを収集している.我々が使用できたのは,健常児のデータのうちおよそ40%のみであった.自閉症児から解釈可能なデータを得ることはさらに難しいことがわかる.しかしながら,得られた結果は,国際誌で発表するにふさわしい.論文はすでに投稿済みであり,査読済み論文の修正を行っている段階である.

今後の研究の推進方策

これに続く実験として,ささやき声と通常発声の音声を用いて自閉症児の共感性を測定している.この音刺激に限っては,すでにノイズのないデータを25名の自閉症児から収集している.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Language performance and auditory evoked fields in 2- to 5-year-old children2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshimura, Y., Kikuchi, M., Shitamichi, K., Ueno, S., Remijn, G.B., et al
    • 雑誌名

      European Journal of Neuroscience

      巻: 35 ページ: 644-650

    • DOI

      DOI:10.1111/j.1460-9568.2012.07998.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Spatiotemporal frequency characteristics of cerebral oscillations during the perception of pitch contour changes in one-syllable intonation2012

    • 著者名/発表者名
      Ueno, S., Okumura, E., Remijn, G.B., Yoshim Y., Kikuchi, M., et al
    • 雑誌名

      Neuroscience Letters

      巻: (in press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Lateralized theta wave connectivity and language performance in 2- to 5-year-old children2011

    • 著者名/発表者名
      Kikuchi, M., Shitamichi, K., Yoshimura, Y., Ueno, S., Remijn, G.B., et al
    • 雑誌名

      The Journal of Neuroscience

      巻: 31 ページ: 14984-14988

    • DOI

      DOI:10.1523/JNEUROSCI.2785-11.2011

    • 査読あり
  • [学会発表] A NIRS study on the perception of normal and whispered speech in 4-6 year old children with autism spectrum disorder2012

    • 著者名/発表者名
      Remijn, G.B., et al
    • 学会等名
      金沢大学第二「子どものこころサミット」
    • 発表場所
      金沢大学(石川県)(招待講演)
    • 年月日
      2012-03-17
  • [学会発表] Hemodynamic responses to animation films in cortex of 3- to 4-year old children2012

    • 著者名/発表者名
      Remijn, G.B., et al
    • 学会等名
      金沢大学「ことばと認知~言語・非言語コミュニケーション研究の現状と課題」
    • 発表場所
      金沢大学(石川県)(招待講演)
    • 年月日
      2012-02-21
  • [学会発表] A NIRS study on the perception of normal and whispered speech in preschool children with autism spectrum disorder2012

    • 著者名/発表者名
      Remijn, G.B., et al
    • 学会等名
      日本音響学会聴覚研究会Proceedings of the Acoustical Society of Japan H-2012-20, 42, 111-115
    • 発表場所
      琉球大学(沖縄県)
    • 年月日
      2012-02-05
  • [備考]

    • URL

      http://bambiplan.w3.kanazawa-u.ac.jp/

  • [備考]

    • URL

      http://kokorosummit.w3.kanazawa-u.ac.jp/program.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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