研究課題
本研究課題では、自閉症者の脳内グルタミン酸系神経伝達における異常の有無について、核磁気共鳴スペクトル法(MRS)を用いて検討することを目的としている。平成24年度は、以下の検討を行った。① 被検者のリクルート: 前年度に引き続き、20歳以上の成人自閉症者、および、性別・年齢を一致させた健常者をリクルートした。自閉症の診断には Autism Diagnostic Interview-Revised (ADI-R)と、Autism Diagnostic Observation Schedule (ADOS)のいずれか、または両者を用いた。あわせてWAISを施行し、IQが70未満の者は除外した。② 撮像: 紘仁病院(名古屋市)に設置の3T MRI(GE社製)を用い、構造的MRI(T1強調像)、拡散強調テンソル画像(DTI)、MRSを撮像した。T1強調像はSPM5、DTIはSPM5に加えFSLを、それぞれ用いて解析した。MRSは小脳虫部、内側前頭皮質、基底核、海馬+扁桃体の各関心領域の代謝物質(ミオイノシトール、コリン、クレアチニン、グルタミン酸、グルタミン酸+グルタミン)の濃度をLC-modelを用いて求め、関心領域内の灰白質・白質・脳脊髄液の各容量で補正した。③ 結果: 自閉症群35名、健常対照群35名の撮像を終了した。解析の結果、T1強調像における局所脳容量、DTIにおけるFA値、MRSにおける各代謝物濃度のいずれも、自閉症群と健常対照群との間に有意な差を認めなかった。これらの結果について、論文を作成し、投稿準備中である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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JAMA Psychiatry
巻: 70 ページ: 49-58
10.1001/jamapsychiatry.2013.272.