1.摂食障害による低栄養状態の治療前後において、脳の高次機能の定量的変化、認知の歪みの定量的変化、脳MRI画像の変化、精神病理学的変化を定量化し、2.並行して、性別・年齢構成を一致させた健常者群との比較を行い、(1)気質、主に注意力と記憶についての高次機能・認知の歪みは治療によりどう変化するのか先行研究の追試も含めて明らかにし、(2)脳画像上の局所・全体変化といかに相関するのかを明らかにする。 摂食障害の患者のうち、研究参加の同意が得られた者に対し、低栄養状態において、治療でルーチンとして行っている身体検査(含BMI計測)、頭部MRI、診察、血液生化学検査に加え、各種神経心理学的検査(認知機能課題、顔画像のやせ認知課題を含む)質問紙検査を行っている。身体状況が改善した段階で、上記検査を再検する。比較のために、年齢と性別を一致させた健常者からの同じデータ採取を行っている。現時点ではまだデータの採取と解析準備の段階であるが、現在の成果として、(1)健常者12例・患者群16例のデータを収集した(欠損値のあるもの含む)。(2)顔のやせ認知試験について、独自の試験プログラムを開発しコンピュータや携帯情報機器(iPad)に実装、データ採取に利用している。 研究計画通り、平成23年度より具体的なデータ解析にとりかかり、治療反応性予測の検討、患者ごとの特性に応じた心理社会的治療を組み立てる体制づくり、発症スクリーニングツールの開発などに展開、国内外の学会・専門誌での発表をめざしていく。
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