研究課題
「脳神経精神疾患患者CSFの分子レベル解析を最新質量分析法を用いて実施し疾患関連物質を見つける」ことを目的としCSF中のペプチド群の無作為的同定研究を実施する。少量のヒトCSF中の高分子量物質を取り除いた後、LC/MS/MSシステムで処理することで過去の精神疾患の生化学的解析の精度とは比較にならない、多種多様の低分子量物質をヒト脳内に簡単に同定・定量できると考えられる。この戦略で脳内に測定できる一次構造の決定されたペプチド群について精神神経疾患との関連性を検討する。この研究は遺伝子の発現量のパターン解析のように「疾患特異的な様々な物質量のパターン」を明らかにする可能性を持つが、むしろ「疾患特異的に出現する物質」や「疾患になるとその量が数十倍以上あるいは数十倍以下の著しい変化を示す物質」を発見することを主眼点としている。精神疾患患者CSFおよび健常者CSFについて、その中に含まれる微量ペプチドを数千穏類同定する。そして、それらについて疾患に関連して大きな差異のあると考えられるものを抽出する。もし該当する物質が見つかれば、その物質の増減が疾患にどれほど関連するか多数例の疾患患者CSFを用いて検討する。まず23年度はヒトCSF中からアルブミンおよびグロブリンを除去したサンプルをABI社製Q-TRAP3200型LC/MS/MSで解析した。この方法で10回の解析によりいくつのペプチドが同定され、その測定間の同定ペプチドの重複の程度から全体の同定可能ペプチド数を推測した。この様な方法で、分離測定可能な約100種類のペプチド断片を同定した。
2: おおむね順調に進展している
質量分析解析により精神神経疾患患者CSF中に多くのペプチド断片が同定されている。これらの中で疾患に関連する物質を探索する方法を確立する必要がある.
質量分析解析により精神神経疾患患者CSF中に多くのペプチド断片が同定されている。これらの中で疾患に関連する物質を探索する方法を確立する必要がある。しかし、まずは一つ一つの新規ペプチドについて疾患群と非疾患群の間で目視により比較していく必要がある。これを今後地道に行っていく。
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Psychiatry Clin Neurosci
巻: 66 ページ: 1-7
World J Biol Psychiatry.2011 Dec 12
巻: (In press)
Biochem Biophys Res Commun
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