本研究は、1) 軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)の睡眠構造の特徴を明らかにすることと、2) MCIからアルツハイマー病(AD)へ移行する患者群の睡眠医学的な予後予測因子を検証することを目的としている。対象は、MCI患者24例であり、認知機能評価、生活機能評価、睡眠ポリグラフ検査(PSG)などを実施した。1) MCI患者のPSG変数はAD群と対照群の中間的な特性を示した。2)2年間経過を観察した後に、ADの診断基準に適合するかどうか評価した。6例(32%)がADを発症していた。AD移行群(AD移行群)とMCIのままであった群(MCI-MCI群)でエントリー時のPSG所見を比較した。AD移行群では、REM睡眠時間短縮やレム密度の減少を認めた。のちにADに移行する患者では、MCIの時点で既にレム睡眠パラメーターが変化しており、予後予測因子である可能性が示唆された。
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