研究課題
九州大学病院と川崎医科大学病院精神科を受診した強迫性障害患者99名のY-BOCS(Yale-Brown Obsessive-Compulsive Scale)症状評価リストをもとに、強迫観念(攻撃的、汚染、性的、保存と節約、宗教的、対称性や正確性、身体)と強迫行為(掃除と洗浄、確認、繰返しの儀式行為、ものを数える行為、整理整頓、溜めこみ)の種類ごとに症状の重みづけを行い、因子分析を行った。その結果、5因子が抽出された。2001年4月から2007年3月の間に九州大学病院精神科の強迫性障害専門外来を受診し、SCID(Structured Clinical Interview for DSM-III or IV)により強迫性障害と診断され、治療効果比較研究に参加した46名に対して連絡をとり、日程調整ができた3名の対象者に同意を得たうえで治療後経過の聞き取り、各種臨床評価、神経心理評価を行った。それぞれ治療後8年4カ月、7年4カ月、5年6カ月における評価となった。SCIDにて強迫性障害の診断がつく者はいなかったが、2名は現在も医療機関に通院中であり1名は薬物療法を受けていた。Y-BOCSはそれぞれ、31→13→27、31→2→19、28→9→6(治療前→治療後→フォローアップ時)、GAF(Global Assessment of Function)は45→65→70、45→80→75、50→75→85、HDRS(Hamilton Depression Rating Scale)は7→1→8、0→1→3、3→0→0という経過であった。対象者数が少なく、まだ考察ができる段階ではないが、これらの結果からOCDの長期経過は、強迫症状の再燃は認めるものの、診断域値以下であることが多く、一度症状が改善されると生活の質は保たれていることが示唆された。次年度以降、評価対象者を増やし、さらに検討をおこなっていく予定である。
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