研究課題/領域番号 |
22591289
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
吉岡 和子 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (30448815)
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研究分担者 |
中川 彰子 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (70253424)
實松 寛晋 九州大学, 大学病院, 助教 (30588116)
中尾 智博 九州大学, 大学病院, 助教 (50423554)
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キーワード | 社会医学 / 精神科 / 強迫性障害 / 長期予後 |
研究概要 |
対象者46名のうち19名(41%)に連絡がとれ、そのうち17名(37%)の来院調査を実施した(治療後平均79.7ヶ月(SD=17.6))。SCID(Structured Clinical Interview for DSM-IV)にて強迫性障害の診断基準を満たした者は、17名中7名(41%)であった。調査時に医療機関に通院していた者は8名、薬物療法を受けていた者は7名、行動療法を受けていた者は2名であった。17名のYBOCS(Yale-Brown Obsessive-Compulsive Scale)の平均は14.8(SD=7.5)、GAF(Global Assessment of Function)の平均は71.2(SD=8.8)であった。 全体でのYBOCS及びGAFscoreの経過、症状タイプ別でのYBOCS及びGAFscoreの経過、発症年齢瑚でのYBOCS及びGAFscoreの経過、治療抵抗群(YBOCS改善率35%未満を治療抵抗群とした)における特徴について解析を行い、以下のような結果が得られた。 (1)YBOCS改善率及びGAFscoreに悪化はなく、治療効果は維持されていた。 (2)対象者を4因子別に群間比較した結果、明らかな有意差を認めなかった。 (3)YBOCS症状Checklist内2項目「不注意から人に危害を加えるのではないか」「何か恐ろしい出来事が自分の責任ではないか」の症状がある者は、調査時YBOCSが低くGAFscoreが保たれていた。 (4)若年(17歳以下)発症の者は後期(18歳以上)発症の者に比べ、調査時GAFscoreが悪かった。 (5)治療抵抗群(n=5)では治療有効群(n=12)に比べ、治療前YBOCSが高く調査時GAFscoreが悪かった。 以上の結果から、先行研究と同様、過剰責任症状・高い発症年齢・低い開始時YBOCSが良好な予後を予測する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
dimension作成に関してはより詳細なデータを集めている最中であり、まだ作成は終了していないが、来院日程調整中の1名を除き、対象者の治療後経過の聞き取り、及び神経心理機能を含む臨床評価はすでに終了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
来院日程調整中の1名について評価をおこない、更なるデータ集積を図る。一方でdimensionの作成をおこない、全てのデータを集積後、治療前脳機能画像、症状亜型(symptom dimension)、治療法、罹病期間、発症年齢、神経心理機能、その他の背景因子と予後との関係について解析を行う予定である。
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