研究概要 |
1、高齢者の認知機能と血漿中長鎖不飽和脂肪酸(n-3PUFAs)の関連について n-3 PUFAsは認知機能低下を抑制する作用があると欧米のコホート研究で報告されているが、魚の摂取量が欧米の3倍といわれる日本でもその傾向が認められるか検討した。 65歳以上の男女226名の血漿中n-3 PUFAsをGC-MSで測定し、同時に評価した認知機能(Mini-Mental State Examination, MMSE ; Frontal Assessment Battery, FAB)との関連を調べた。 血漿中eicosapentaenoic acid (EPA)濃度はFAB得点(r=.163,P=0,014)及びClock Drawing Test (CDT)(r=.159,P=0.025)と正の相関を認めたが、MMSEとの相関はなかった。 2、高齢者の認知機能及びうつ状態と唾液中cortisolの関連 自記式のうつ病評価尺度であるBeck Depression Inventory (BDI)得点はその時点の唾液中cortisol値と相関はないが、3年後のBDI得点と有意な相関が認められた。すなわち、唾液中cortisol値は3年後のうつ状態の予測因子になる可能性が示唆された。認知機能とcortisolの関連はなかった。 現在サイトカイン類と認知機能の関連について検討中である。
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