本研究では、医療従事者や精神保健従事者、家族など支援者を対象に、精神疾患に対する偏見や差別の除去、精神医学的知識・対応技法を効率的に習得できるような教育法の確立、自殺の危険性のあるものに対する対応技法が習得できるような教育法の確立、を目的としている。 平成22年度は医療従事者、精神保健従事者、家族など支援者向けの研修プログラムの開発を行い、MHEAプログラムのマニュアル第2版として改訂を行った。講義とワークショップ、ロールプレイによる短時間(3時間)参加型の形式の教育法を開発し、日本自殺予防学会企画研修、内閣府自殺対策ワークショップ等において実施し、参加者の介入効果をパイロット的に検証した。内閣府による自殺対策のゲートキーパー養成プログラムとして、MHFAの方法論に基づいた普及啓発用、ゲートキーパー養成用の視覚教材およびテキストの作成に研究班として学術的協力を行い、全国都道府県の自殺対策主管課を通じて配布され、内閣府ホームページから閲覧、ダウンロードが可能となった。視覚教材を閲覧した上で、質問に答えるe-learningの形式の教育方法を考案した。さらに、視覚教材は京浜東北線でアドトレインとして運行する車内で自殺対策のキャンペーン月間(平成23年3月)に放映され、内閣府企画Yahoo Japan「いのちを支えるプロジェクト」として全国のゲートキーパー向け教育として活用された。 本研究で作成した研修プログラムは、医療従事者や精神保健従事者、家族など支援者が精神疾患の初期対応のスキル向上に効果的な方法論であると考えられる。特に視覚教材も取り入れたプログラムの実施は、有効性を高めることが期待される。さらに、ITを活用した教育法も効果的な方法論であることが期待され、今後、さらに本研究を発展させ、より効果的なプログラムの開発、他領域への方法論の応用をすすめていきたいと考える。
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