医療従事者(医師、看護師等)や精神保健従事者(保健師、関連機関職員、ボランティア等)等、幅広い従事者や家族など支援者を対象に、①精神疾患(うつ病、統合失調症、アルコール依存症、薬物依存)に対する偏見や差別の除去、②地域の医療や精神保健領域において、必要な精神医学的知識・対応技法を効率的に習得できるような教育法の確立、③自殺の危険性のあるものに対する対応技法が習得できるようなMental health first aidに基づいた構造化した教育プログラムを開発した。その上で、Mental health first aidプログラムのマニュアル第2版の内容を反映させた。また、新規教育プログラム開発について、相模原市の精神保健福祉センター等関係機関と共同で研修会の実施、参加者に対する調査を行い、プログラムの直接的介入効果を検証した。 また、内閣府と共同で、本教育プログラムに基づき視覚教材や講義資料で構成されるキットを開発し、更に地域保健と関連した視覚教材の開発も行った。平成23年度に内閣府と共同で開発したDVD資料を基にした啓発キットを用いて自殺対策の中でゲートキーパーの役割が期待される地域精神保健従事者に対する教育を行い、ファシリテーター養成や効果評価の実証研究も合わせて実施し、被災地のゲートキーパー養成のための研修プログラムを普及した。 このように本研究において実証的に構築された精神保健従事者に対する教育プログラムは、自殺対策基本法や自殺総合対策大綱で位置付けられている重点施策であるゲートキーパーの養成の骨子として位置付けられ、全国で活用された。
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