今年度は統合失調症群および健常対照群の双方に対し、実験を行う予定であったが、支給決定からの期間が短かったため、両群とも十分な件数の実験を行うことができず、統計解析などは行えていない。これまでの結果ではfunctional MRI(fMRI)の撮像と刺激提示を完全に同期させることにより、より正確なhemo-dynamicsを得られ、条件間のサブトラクションの効果をより精密にすることができた。しかし、現在の刺激提示機器では、事象関連電位(ERP)測定の際にfMRI撮像の騒音による脳波波形などのアーチファクトの混入が目立ち、メカニカルノイズによるERP波形成分およびfrequent刺激に対するERP成分の抽出は不充分であった。Rare-Frequent引き算波形においてメカニカルノイズによる成分を相殺するという当初の目的は十分に達成できず、得られた引き算波形の意義がMismatch Negativity(MMN)とは異なる可能性が否定できなかった。 今後、聴覚刺激提示装置を更新し、雑音などによるアーチファクトを除外するとともに、症例数を増やして検討を行う予定である。
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