研究概要 |
本研究は、初発および難治性うつ病患者および健常者を対象として、脳内カテコールアミンを評価する手法として神経メラニンMRI検査とPET検査を実施することで、うつ病発症におけるシナプス前での脳内カテコールアミン機能の評価と、難治性うつ病の病態としての脳内カテコールアミン機能の変化を評価することを目標とし、更に治療経過を前方視的に追跡することで、治療効果による変化を評価することを目的としている。 今年度は昨年度に引き続き3テスラMRIを用いて健常者16名の健常者、うつ病患者5名を撮像した。併せてドパミントランスポーター結合能と比較を行った。前年度と併せて35名の健常者に対して神経メラニンMRIと[18F]FE-PE2Iを撮像し、両者の関係を検討したところ、黒質における神経メラニンの信号値と黒質におけるドパミントランスポーター結合能は有意な相関(r=0.618, p<0.0001)を認めた。このことから神経メラニン画像を用いる事でドパミン神経系のプレシナプス機能を反映していると考えられる。神経メラニン画像とPET検査の相関を示せた事は、今後の神経メラニン画像の可能性を広げるものと考える。 うつ病患者においては健常対照群と比べて黒質における神経メラニンの信号値は健常者と比較して有意に低下(p<0.01)している事から、うつ病患者ではドパミン神経系のプレシナプス機能が健常者と比して低下していると考えられ、うつ病の病態に対して新たな治験を得られたと考える。
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