研究課題/領域番号 |
22591308
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研究機関 | 財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
榛葉 俊一 財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, 研究員 (80175398)
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キーワード | DC電位 / CNV / 意欲 / 意識 / 覚醒 / 精神疾患 / ラット / マウス |
研究概要 |
DC電位が様々な行動に伴い変化することは、これまでの睡眠やけいれん、学習などにおける研究で知られている。DC電位を精神神経疾患の診断や治療に利用することは興味深い。 動物を用いた今年度の研究では、主として、意欲に伴うDC電位の変化を記録し、行動準備、メンタルセット、そして覚醒との関連で分析した。意欲を高めるために、頭蓋内自己電気刺激を用いた。DC電位は銀塩化銀電極を前頭部、頭頂部、後頭部の脳表に装着し、小脳を基準として記録した。またラットの内側前脳束に刺激電極を挿入し、レバー押しにより電流が内側前脳束に流れる設定とした。 覚醒無拘束状態で、ある時間帯は高頻度でレバーを押し前脳束を自己刺激した(自己刺激期)。まあ他の時間帯はレバーを押す行動が見られなかった(休止期)。自己刺激期には、DC電位が陰性にシフトすることが認められた。シフトはレバー押しが開始されるとすぐに始まり、休止期になると陽性方向に戻る変化が見られた。この変化は後頭部よりも前頭部と頭頂部で明確に出現した。これらの所見は、前頭・頭頂部のDCレベルは意欲に関連する行動のコントロールに関わっていることを示唆した。 臨床面での研究においては、倫理委員会の承認のもと、被検者からの文書同意をとり、経頭蓋的直流電気刺激法の治療効果の評価を続けている。前頭部に1mAの直流電流を20分負荷することによる心理的変化を、不安障害、うつ病患者において分析している。今後さらに症例を増やしていく予定である。これまでも続けてきた、緩電位記録を、不安やうつ病の診断に用いる研究も継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物を用いた研究では、データが出てきており、今後分析や結果のまとめをしていく状況になっている。臨床研究においては、まだデータの蓄積が十分ではないが、方向性は定まってきている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に、ラットやマウスにおける、DC電位や緩電位と脳機能との関連を明らかにするために、記録と分析を続ける。また、その結果をもとに、臨床における緩電気記録や刺激治療の発展を目指す。.
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