裁判員制度開始前後から、精神鑑定実施件数が急増し、鑑定人と法曹のカンファレンス、鑑定人によるプレゼンテーションがほぼ全数で実施されるようになっていることが確認された。こうした状況において、責任能力判断の構造を(1)精神機能や症状に関する情報収集、(2)精神機能や症状の認定、(3)疾病診断、(4)精神症状や病理と事件の関連性の描出、(5)善悪の判断や行動の制御への焦点化、(6)法的な弁識・制御能力としての特定、(7)弁識・制御能力の程度の評価、(8)法的な結論という8ステップによる理解が有用であることを提言した。
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