居眠り運転事故は、睡眠不足ならびに睡眠覚醒リズムの障害と関連する可能性がある。本年度は常態的に睡眠覚醒リズムの変調を余儀なくされている交代勤務に従事する看護者の睡眠問題と、これに起因する日中機能障害ならびに業務エラー・事故とニアミスの実態について調査を行った。 対象は、東京都内の大学病院に勤務する交代勤務に従事する看護者(n=1074)である。これらに対し、人口動態学背景、勤務スケジュール、睡眠障害(不眠・眠気を生じる交代制勤務睡眠障害:SWD)の有無、上記アクシデントとニアミス、抑うつ気分(CESD使用)、QOL(SF-8使用)を評価した。 SWDの有病率は31%に達し、その割合は二交代勤務と三交代勤務の間で差は無かった。SWDを有する対象者では、SEDの存在しない者に比べてSF-8の精神/身体的健康度が低下、かつCESD抑うつ得点が高値を示した。また同様に、事故/ニアミスイベントが有意に高頻度であった。SWDの関連要因として、元来夜型傾向を有すること、勤務時間が長いこと、勤務中の仮眠がとれていないこと、高齢であることが有意であった。 SWDは交代勤務者の日中機能を低下させ、事故/ニアミスのリスク要因になることがわかった。また、SWDの予防には、夜型ライフスタイルを避け、適宜仮眠をとることが必要であり、高齢者には交代勤務不適な可能性が示唆された。
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