平成22年度は心筋運動解析用ファントームの運動体部分の作成に着手し、ラテックス製のゴム風船様の製品から単層の円筒型ファントームを作成して基本的な運動特性を調べた。基本的運動特性に大きな問題はないため、心筋の動きを模擬することを試みたが、回転運動の再現性、運動のなめらかさにかけており、運動解析に用いるファントームとするためにはさらなる改善が必要と考えている。 健常ボランティアにおけるMRI Tagging画像、次いでCine MRIによる内膜側、外膜側の局所運動評価法の研究は、健常ボランティアのCine MRI、およびMRI Taggingの画像を得、情報工学の専門家の助言を得ながら研究した。植物の成長を追尾するソフトウエアを応用することで、Cine MRI画像において左心室内膜面の凹凸などの特徴点をとらえてこれを追尾でき、特徴点の運動方向解析が可能であり、回転方向と車軸方向への動きに分解しての解析も可能と考えられた。心筋運動解析の標準的手法であるMRI Tagging画像による動きの解析結果と対比を試み、今回開発した解析法で、定性的にはCine MRI画像でも良好な解析ができていると考えられたが、定量的解析は緒についたばかりで、今後さらなる研究が必要である。Cine MRI画像において左心室外膜面の特徴点をとらえ、これを追尾することも試みたが、内膜面と比較して特徴点の把握が難しく、今後さらなる工夫が必要と考えられた。MRI Tagging画像に今回Cine MRI画像用に開発した手法を応用する試みも開始した。MRI Tagging画像の簡易な定量的手法になる可能性があると考えられた。
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