研究概要 |
脳血管障害,特に小血管病によって生じる大脳白質病変は,認知機能障害をはじめ様々な神経症状と関連があることが明らかになってきているが,その発現機序には未だ不明な点が多い。可視的な白質病変を客観的に定量評価し,加えて通常の画像検査では捉えられない微細構造や代謝状態の変化をも勘案して診断する手法が確立していないのがその一因であると考えられる。このため本研究では,大脳白質病変分布パターンのコンピュータ・プログラムによる特徴抽出と,新しいMRI撮像法による解析結果を統合し,数理統計学的に臨床症状を予測する新しい方法論を確立することを目的としている。 本年度は,「通常の画像検査では捉えられない微細構造や代謝状態の変化をも勘案する」手法としてプロトン磁気共鳴メペクトロスコピー(^1H-MRS)の解析データ解析データを従来以上に精度良く定量評価する手法について,データ取得法の最適化,解析プログラムの選定とカスタマイズによる最適化,これらの指標が臨床症状を反映しうるかどうかの検討を行った。その結果,^1H-MRSで得られる代謝物の定量値がグリオーシスの程度の指標になり得ること,この指標が臨床症状とよく相関することを明らかにした。
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