平成24年度は、Dual-Energy CT (DE-CT)装置を用いた肝造影CT画像で得られる腫瘍内ヨード量定量値の検討がどの程度腫瘍血流の評価に有用であるかを検討し、DE-CTによるヨードマップ画像の応用が分子標的治療の早期効果判定のバイオマーカーとして使用可能かどうか判断するための基礎検討を行った。 シーメンス社製DE-CTで肝臓の3相造影CTを施行した176例のうち血管造影、動注CTを行って腫瘤性病変の血流解析を行った8例(男性5例、女性3例;平均年齢71±9歳)に観察された直径1cm以上の結節14結節(平均3.0±3.6cm)を対象とし、動脈相、門脈相、平衡相のヨードマップ上で腫瘤部、背景肝、大動脈のROIのヨード量を測定し比較したところ、動注CT上、多血性肝細胞癌と診断された10結節(平均径2.0±0.8cm)の動脈相、門脈相、平衡相のヨード量(mg/ml)は2.5±0.8、2.3±0.4、1.7±0.4、乏血性肝細胞性腫瘤と診断された4結節(平均径5.7±6.3cm)のヨード量(mg/ml)は、1.1±0.8、1.8±1.2、1.4±0.8であった。背景肝のヨード量(mg/ml)は、1.0±0.5、2.3±0.5、1.8±0.3、大動脈のヨード量(mg/ml)は、12.5±2.8、5.3±1.0、4.0±0.6であった。多血性肝細胞癌と乏血性肝腫瘤の間では動脈相のヨード量において有意差が認められた(p=0.01)。 以上のようにDE-CTのヨードマップでヨード量を定量的に解析した結果、動脈相において多血性肝癌、乏血性肝腫瘤のヨード量に有意差が認められDE-CTによるヨードマップ画像が分子標的治療の早期効果判定のバイオマーカーとして使用できる可能性が示唆された。
|