研究概要 |
画質を維持しつつ低被ばくを実現するため様々な検討が行われている.低電圧CTにより増強効果の向上や出力線量の低下などの方法がるが,高体重群においては,画像ノイズや皮膚線量の増加が危惧される.我々は,管電流制御による低線量CTでの高ヨード負荷が画質に与える影響を検討した.腹部造影CTを施行した195例(平均63kg)をNoise Index ; NIおよび投与ヨード量;I(mgI/kg)が異なる3群にランダマイズした[A群(NI;12, 1;521, n=65),B群(NI;15, 1;521, n=65),C群(NI;15, 1;600, n=65)].造影前相,動脈相,門脈相で大動脈,門脈,肝実質のCT値とSD値を測定し,画質およびノイズを視覚評価した.各群で,CT値,SD値,視覚評価スコアおよびCTDIvolを比較した.大動脈,門脈,肝実質CT値はどの相でもC群が他群に比して高値を示した.大動脈,門脈,肝実質SD値はどの相でもA群が他群に比して低値を示した.門脈相での画質およびノイズはA群とC群で同等であった.B, C群におけるCTDIvolはA群に比し,有意に低値を示した.低線量CTにおける画質劣化は負荷ヨードを増加することで代償され,約30%の出力線量の軽減となった.限界として,臓器や血管の濃染を主に画質評価を行ったが,病変の検出能・診断能に対する検討が行われていないことが挙げられる.今後の展望として,低電圧CTと低電流CTにおいて,画質や診断能を比較し,より低線量かつ高画質なCT撮像法が望まれる.上記成果は, Watanabe H, Kanematsu M, Miyoshi T, Goshima S, Kondo H, Moriyama N, Bae KT. Improvement of image quality of low radiation dose abdominal CT by increasing contrast enhancement. AJR Am J Roentgenol. 2010 Oct ; 195 (4) : 986-92に掲載した
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